特別報告 造園家 栗栖宝一氏/癒しの空間ー日本庭園の神髄と人間感性の一体感

栗栖宝一氏は日本庭園の持つ力で人心と対峙し、それが唯一心に届く形象だと各方面で実証し実績を上げてきた。このような方向に向かわせた要因に自らの原爆体験がある。幼少期を日米両国で暮らし大学を卒業後、造園家 小形研三氏に師事、その後、ポートランド日本庭園の築造に従事して1972年Kurisu Internationalを設立し現在に至る。

当時から栗栖氏のデザイン思想は常に人の心に向かい、手段としての「雑木庭」は意義や意味を求める人間世界の理屈をも超越しているように見える。近作はオレゴン州レバノン、サマリタン・レバノンコミュニティ病院の日本庭園で、抗がん剤投与患者の精神安定に大きく貢献した実績等でLA医療環境を受賞。更にオレゴン州立刑務所内に暮らす囚人らの心の叫びに共鳴し、人としての究極的な尊厳と真心の平和の獲得を日本庭園を通して実践した。

世界に類を見ないこれらの実践は並大抵ではないが、現代社会において日本庭園の持つ力(愛)を際立たせつつある。ALCA大賞、日本庭園学会賞など受賞多数

LANDSCAPE DESIGN NO.132 (株)マルモ出版

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